データドリブンな営業・マーケターになる 結果につながるデータ活用の極意

2021年6月29日(火)

パワー・インタラクティブ セミナー事務局【文責】

ビッグデータを使った「見える化」に関心が高まっています。今回のセミナーでは、約20年間にわたり企業のデータ分析・活用を支援している株式会社セールスアナリティクス代表取締役の高橋威知郎氏をお迎えし、営業・販促におけるデータ活用の極意をおうかがいしました。

高橋 威知郎(たかはし いちろう)

株式会社セールスアナリティクス 代表取締役
データ分析・活用コンサルタント

中央官庁およびコンサルティングファーム、大手情報通信業などを経て現職。約20年間、一貫してデータ分析に携わる。現在は、営業やマーケティング、生産、開発などの現場における地に足がついたデータ分析・活用(データドリブン化)の支援を実施。

「見える化」の誘惑

ビッグデータ時代と言われますが、その言葉に踊らされていろいろなデータをやみくもに集めてしまい、データの洪水に飲まれてしまっては意味がありません。データを集めて「見える化」をした時に、どれだけ利益を改善させられたかが大切。まずはリトルデータからでよいので、きちんと成果を出していくべきです。

また、そもそも上手くいっていないことを見える化しても、上手くいくはずはありません。IT化することで逆に業務の手間が増えてしまい、効率が悪くなったということもあります。

図表1

「何を」見える化するのか

多くの場合「売上」や「受注件数」など、何かをした結果のデータを見える化することが多いのですが、データ活用という観点で言えば、見える化して次に何をすべきかを知りたい、つまりアクションの見える化が必要です。

ここで大事なことは、ネクストアクションをする現場の人が結果を見て動けるかどうか。そのためにはデータ分析をする人と現場の人とが密に連携していないといけません。できれば一緒に取り組んだ方がよいです。

図表2

「テーマ」選びはロジカルに、「筋のいいテーマ」を選ぶ

見える化のテーマは現場にしかありません。誰かの思い付きや経験と勘で選んだテーマの場合、うまくいくケースとうまくいかないケースが出てしまってギャンブルと同じことになってしまいます。データを活用するということはギャンブル性を減らすということですので、テーマ設定もロジカルに行う必要があります。

また、「筋のいいテーマ」を選ぶことが重要です。下図のような、利益に与えるインパクトと実施の難易度とでプロットします。まず取り組むべきなのは右上の「易しくてインパクトが大きいテーマ」です。しかし、このようなテーマは実際には多くはありません。そこで次に選ぶテーマになるのですが、次は左上のテーマを選びがちです。しかし、実はこの部分は効果が出るまで時間がかかることが多く、従って2番目に取り組むべきなのは右下となります。右下のテーマを短スパンでサクサクと取り組むことで、「データを活用するとこういう感じで成果が上がるのだ」と理解が進み人材が育ち、組織の経験値が上がります。

図表3

営業の現場感に合ったテーマ選び

テーマ設定について、別の切り口からもご説明しましょう。下図において、横軸は営業現場の人が知っているか知らないか、縦軸はデータが知っているか知らないかです。

図表4

「盲点の窓」として有名なのは、「おむつとビールが一緒に買われることが多い」という大発見です。このことは営業現場では知られていなかったのですが、データ分析により判明しました。営業企画や営業推進はこのような「盲点の窓」の大発見を期待しがちなのですが、データ分析でそのようなことを見出したとしても、営業現場からは「現場感に合わない」と反発されることもあり、実際にはなかなかうまくいきません。

そこで、営業現場が何となく知っていて、データ分析でも調べることができる「開放の窓」からテーマを選ぶことをお勧めします。既に現場の人が知っていることなら、データ分析をする意味がないのではと思われるかもしれませんが、例えば顧客への最適な訪問回数をデータ分析することで、「訪問しすぎ」「訪問しなさすぎ」の閾値を出せると、営業活動をロジカルに行えるようになります。

小さく始めて大きな波及効果を得る

このように、難易度が易しく、営業現場の肌感覚にも合っているテーマから取り組むことで、

  • 軌道修正が簡単で、失敗の影響も小さい
  • 何度でもチャレンジでき、早い段階で自信を得ることができる
  • 小さくても実績なのでファクトを積み重ねることができる

といったメリットがあります。

また、最初は営業現場の負担が極力少なく、動き方もほとんど変わらない一方で、あればちょっと嬉しいデータを出す、という程度でやればうまくいきます。取り扱い商品数が多く、自社の営業担当者ですら商品全てを把握できていない商社の例ですが、購買データからクロスセルの傾向をデータ分析し、顧客企業ごとに「次に何を売り込めばよいか」をデータで出すことで、特に経験の浅い営業担当者が有効に活用してくれました。

Q&Aコーナー

Q. データは蓄積されていますが、恐らく抜け漏れがたくさんあって使い物にならないのではと感じています。どのぐらいのデータがあれば、データ活用の小さな一歩を踏み出せるのでしょうか。

A. どういったデータ分析をするかによりますが、多ければ多い方がよく、季節性のあるデータについては2~3年分あるとよいです。これよりもデータの期間が短い場合、営業現場の感覚や分析者のインサイトで補う必要があります。

Q. コロナ禍で売上が大きく落ちるなど従来からの延長線上から外れた際の原因解析をしたい場合に、これまでに持っていないデータの収集が必要となると、アクションが大きく遅れる実感があります。小さく始めたくても、結果が出る前に大きい解析を求められるとなると、どうすればよいでしょうか?

A. 例えばコロナ前のデータで売上予測モデルを作ったとして、そのモデルをコロナ禍で使う場合、元のモデルのパラメーターをコロナの影響分だけ下げることで、そのまま使えたりもします。

高橋氏によるデータの「見える化」についてのコラムは以下にもございます。ぜひご覧ください。

近未来を見据えた営業マーケティングのためのデータ分析―――今あるデータで営業生産性を向上させた3つの事例

なぜデータを「見える化」しても成果がでないのか―――分析結果を営業マーケティングに繋げる3つのポイント

営業マーケティング系のデータ活用は「小さくはじめ大きく波及させよ」―――現場感×データインサイトを実現する「ジョハリの窓」

参加者の声


    
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