【図解】営業の分業制度『THE MODEL』の内容を5分で簡単解説

2021年6月10日(木)

マーケティング&セールス部 岩野航平【文責】

タイトル:THE MODEL

著者:福田康隆
出版社:翔泳社
第一刷発行:2019年1月30日



2019年1月に発売された『THE MODEL』。振り返って読み直してみると、改めて学びの多い書籍でした。

THE MODELは、効率化を突き詰めた営業の分業制度です。これまで、1人の営業担当がリスト作成からアポイント獲得、商談、カスタマーサポートまで一貫しておこなう企業も多くありました。しかし、THE MODELでは営業プロセスを分業体制で運営することで、飛躍的な効率化を実現させました。

弊社ではTHE MODELのように、営業プロセスを分業体制で運営しています。そのため、弊社の業務内容を理解するうえで、THE MODELは非常に参考になりました。

今回は、弊社を含め多くの企業が取り入れている営業の分業体制『THE MODEL』の内容を5分で読めるよう、簡単に整理してみました。

著者紹介

著者:福田康隆
経歴:1972年生まれ。早稲田大学卒業。ハーバード・ビジネススクール General Management Programを修了。1996年に日本オラクルに入社し、セールスコンサルタントとして勤務。2001年に米オラクル本社に出向。2004年米セールスフォースドットコムに転職し日本市場におけるオペレーションを担当。翌年、同社日本法人に着任。以後9年間にわたり専務執行役員兼シニアバイスプレジデントとして日本市場における成長を牽引してきた。2014年6月マルケト入社と同時に代表取締役社長に着任し、2017年10月には株式会社マルケト代表取締役社長アジア太平洋日本地域担当プレジデントに就任。創業3年目でベストカンパニー受賞、小規模部門で1位入賞。アレン・マイナー氏が会長を務めるJAPAN CLOUDのアドバイザー、ユーザベース「SPEEDA」事業マネジメント・アドバイザーをはじめ、SaaS領域のスタートアップのメンター、アドバイザーとしても活躍中。

※引用:『THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの協業プロセス』翔泳社(2019年)

THE MODELとは

THE MODELとは、セールスフォース・ドットコム社で磨かれた、営業の分業体制のことです。

米国は国土が広いことから、営業が顧客に会いに行くのに莫大なコストと時間がかかります。そのため、電話で売り切るテレセールスの手法が当時の業界では主流でした。

しかし、米セールスフォース・ドットコム社では、営業を分業体制で運営していました。マーケティング部門、インサイドセールス部門、営業(アウトサイドセールス)部門に、カスタマーサクセス部門分かれ、顧客の購買意欲を段階的に高めていました。

著者の福田氏は米国本社で営業の分業体制を学んだあと、CEOのマーク・ベニオフから、日本支社で営業の分業体制を浸透させるように指示を受けました。

日本に馴染みのない分業体制を受け入れてもらうために、シンプルでわかりやすい名前が必要だということになりました。そして、米セールスフォース・ドットコム社の営業の分業体制は「THE MODEL」と名付けられました。

THE MODELの営業プロセス

 画像

※『THE MODEL』翔泳社(2019)を参考に、岩野で作成。

THE MODELでは、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「営業」「カスタマーサクセス」の4段階に分けています。

マーケティングとインサイドセールスで購買意欲を高めていき、営業が契約を獲得します。その後カスタマーサクセスに引き継ぎ、顧客サポートをしていきます。

ここでは、それぞれのプロセスの役割を解説していきます。

■ マーケティング

マーケティング部門では、主に見込み顧客(リード)の獲得を担っています。

マーケティング部門は、営業プロセスのなかで最も多くの人を相手に活動します。メールマガジンや広告配信、SEO対策、SNS運用など、さまざまな手段を使って認知を獲得し、自社サービスへの興味を惹き付けていきます。

マーケティング部門は主に、サイトのPVや自社のペルソナ像に合った顧客からの問い合わせ数などを目標に掲げて活動します。自社の利益につながる顧客を集めることが、マーケティング部門の役割です。

■ インサイドセールス

インサイドセールス部門は、マーケティング部門が獲得したリードの購買意欲をさらに高めて、営業にパスする役割を担っています。

マーケティング部門が集めたリードのなかでも、サービスへの興味関心度合いには差があります。インサイドセールス部門では、数あるリードのなかで熱量の高い人(ホットリード)に絞ってアプローチしていきます。

営業メールや電話などで直接コミュニケーションを取ることで、より購買意欲を高めていきます。

インサイドセールス部門が最も目標設定が難しい部門です。商談創出件数を指標に設定すると、受注確度の低い商談を設定してしまうようになります。逆に受注確率を指標に設定すると、確度が極めて高い商談しか設定しなくなり、十分な商談の量を営業に供給できなくなってしまいます。

インサイドセールス部門の目標設定をするときは、自社の経営方針と照らし合わせながら慎重におこなう必要があります。

■ 営業(アウトサイドセールス)

営業部門は、顧客と商談をして契約を獲得する役割を担っています。

THE MODELの営業部門では、顧客の状態をフェーズに当てはめて管理します。本書のなかでは、以下のように分類されています。

     
  • フェーズ1「リード以上商談未満」
  •  
  • フェーズ2「ビジネス課題の認識」
  •  
  • フェーズ3「評価と選定」
  •  
  • フェーズ4「最終交渉と意思決定」
  •  
  • フェーズ5「稟議決裁プロセス」

営業は、フェーズを次に進められるようなアプローチをしていきます。

■ カスタマーサクセス

カスタマーサクセス部門は、既存顧客のサービス利用サポート、アップセルおよびクロスセルを促す役割を担っています。

サブスクリプション型サービスを提供している企業では、カスタマーサクセス部門はなくてはないものとされています。サブスクリプション型サービスは費用の手軽さから導入のハードルは低くなりますが、解約のリスクとも常に隣り合わせの立場にあります。

カスタマーサクセス部門は既存顧客であるお客様に寄り添い、サービス利用効果を最大化させるサポートしていきます。

カスタマーサポート部門は、お客様満足度や継続率、アップセルおよびクロスセルの金額などを目標として設定することが多いです。

THE MODELを成功させる3つの基本戦略

THE MODELを成功させるには、押さえておくべき3つの基本戦略があります。「市場」「リソース」「パフォーマンス」をしっかりと握ることで、THE MODELを効果的に運用できるようになります。ここでは、3つの基本戦略について詳しく解説していきます。

■ 市場戦略

市場戦略とは、戦略通りに行動すれば勝てる市場で戦うことです。

市場とは、顧客ニーズだけのことではありません。競合の存在や外部環境の変化なども市場に大きな影響を与えています。それらを踏まえたうえで、「自社が提供できる価値」を定義します。

自社が提供できる価値を定義したら、どのようにして顧客に届けるかといった戦略を立てていきます。市場環境によって、自社が取るべき市場戦略は異なります。最も効率よく販売できる戦略をもとに販売していくことが大切です。

■ リソースマネジメント

リソースマネジメントとは、「ヒト・モノ・カネ」の経営リソースを最大限効率的に使うためのマネジメントのことです。

どれだけマーケティングを強化して集客しても、販売キャパシティは営業リソースを超えることはできません。営業のキャパシティを超えて購買意欲の高い顧客を獲得してしまうと、待たされる顧客が生まれてしまいます。

「ヒト・モノ・カネ」のリソースを活用して利益を最大化させるには、全体をみて最適なリソース配分に調整することが求められます。

■ パフォーマンスマネジメント

パフォーマンスマネジメントとは、各部門の社員のパフォーマンスを見て、ボトルネックを解消するマネジメントのことです。

営業では、売上金額や新規受注率、新規の比率、受注件数など、様々な数値を洗い出すことができます。しかし、数値が低いものを取り上げるだけでは、ボトルネックを正確に掴んでいるとは言えません。

1つの数値を見れば悪い状況に見えても、複数の数値を組み合わせて見ればそうではないことがあります。また、ある営業担当の成績が悪い原因が当の本人ではなく、ほかの部署にある場合もあります。

パフォーマンスマネジメントでは、これら複雑に絡み合う現象を俯瞰して見つめ、社員のパフォーマンスを上げることが求められます。

THE MODELの失敗を防ぐ3つのポイント

これまで、THE MODELを成功させるためのポイントを紹介してきました。しかし、THE MODELを導入している企業は多くありますが、実際にうまく運用できている企業は少数です。ここでは、THE MODELの失敗を防ぐ3つのポイントを紹介します。

■ 協力せざるを得ない目標を与える

THE MODELを模して営業プロセスを改革するのであれば、各部門が協力せざるを得ない目標を設定します。

そもそも人は、グループに分けると対立します。マーケティング、インサイドセールス、営業、カスタマーサクセスそれぞれの利害が一致していないと、それぞれの目標を追う過程で衝突してしまいます。

THE MODELのような分業体制を成功させるには、それぞれの部門が協力せざるを得ない目標を与えることが大切です。協力しない限り自身の目標も達成できないのであれば、自然と協力するようになります。

■ 根底にあるボトルネックを特定する

THE MODELを成功させるために、根底にあるボトルネックを特定するという視点を持つ必要があります。

THE MODELは、言い換えれば営業の分業制度です。それぞれの部門で目標を設定し、目標を追いかけていきます。ときには、営業プロセスのなかで一部門だけ思うような成果が上がっていないという事態も起こりえます。

例えば、インサイドセールス部門の成績だけが振るわない場合。インサイドセールス部門に問題があると考えるのが普通でしょう。しかし、すぐにそう決めてしまうのは早計です。

そもそも、インサイドセールス部門が商談につなげやすいようなリードをマーケティング部門が集められてないゆえに、インサイドセールス部門の成果が振るわない場合もあります。

THE MODELを運営していて何か問題に衝突したときは、その問題の根底にあるボトルネックまで掘り下げて考えるようします。

■ ビジョン・ミッション・バリューを定義する

THE MODELで失敗しないために、ビジョン・ミッション・バリューを定義します。

THE MODELで起こりやすい問題として、各部門の分断が挙げられます。1つの事業を運営する仲間のはずが、それぞれがそれぞれの目標を追い、異なる業務を異なる場所でおこなうことで、仲間意識が薄れていってしまいます。 営業プロセスを分業するのであれば、各部門の分断はある程度仕方のないものです。肝心なことは、分断が起こっても同じ方向を向けるよう、指針となるミッション・ビジョン・バリューを明確に定義しておくことが大切です。

各部門の分断による悪影響を防ぐためにも、指針となるミッション・ビジョン・バリューは明確に定義する必要があります。

THE MODELは営業の効率を突き詰めた分業体制

いかがでしたか。THE MODELは、営業の効率を突き詰めた分業体制です。営業プロセスをすべて1人の営業担当が担っていては、移動コストがかかったり、各業務への専門性を磨けなかったりして、非効率になってしまいます。一方、営業プロセスを分割することで様々な非効率を解消することができます。

しかし、THE MODELを取り入れればすべてが上手くいくわけではありません。部門間での衝突が起こったり、最適なマネジメントをするノウハウがなかったり、行き詰る要因はたくさんあります。

THE MODELを成功させるには、スムーズにつながる営業プロセスを設計し、3つの基本戦略に沿ってマネジメントをすることが大切です。

今回は、セールスフォース・ドットコム社で磨かれた営業の分業体制『THE MODEL』についてまとめてみました。2年前に発売されたときにも読んでいましたが、改めて読み返しても学びの多い書籍でした。自社の営業プロセスをより良くするために、本コラムがお役に立てば幸いです。

    kohei_iwano_2.jpg

    マーケティング&セールス部岩野航平
    Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ)保有

    
    デジタルマーケティングの成功体験をサポート