セミナーレポート

MAの運用を最適化する3つのポイント

「マーケティングオートメーション(以下、MA)を使ってデジタルマーケティングを推進するなかで、オペレーション設計の必要性を感じている」という方も多いだろう。MA活用が進み実施する施策が増えるにつれ、オペレーション設計の重要性は高まっていく。

2023年2月9日、MAを軸としてデジタルマーケティングを推進している方に向けて、オペレーション設計の考え方とマネジメントの実践的なコツを解説するセミナーを開催した。本コラムでは、パワー・インタラクティブで実践しているマネジメントのコツを解説した第2部の内容を紹介する。

※関連ナレッジ資料※

MAの運用を最適化する3つのポイント

MAを導入し、MA運用を軌道に乗せる難しさを感じている方は多いだろう。操作方法はわかっていても、操作手順を共有できていなかったり、チェックすべきポイントを整理できていなかったりしてトラブルにつながることは起こり得る。

質の高いMA運用を実現するためには、3つのポイントを意識すると良い。

図表1:質の高いMA運用のための3つのポイント

3つのポイントを抑えるためには、「業務フローの整備」「人材育成」「品質管理・改善」に取り組む必要がある。

ポイント1:業務フローを整備する

MA運用の業務フローが整備されていない状態では、以下のような危険性がある。

 ●作業依頼がメールのやり取りになっていると、やり取りが限られた人しか確認できず、依頼内容を再確認することが難しい
 ●依頼のフォーマットが決まっていない場合、作業者が間違った理解をする可能性がある
 ●承認なしにメールの配信設定を実施し、受けるべき作業かの判断がなく業務が進んでいる
 ●作業者が設定内容をセルフチェックし、設定のミスを見逃す可能性がある

図表2:業務フローが未整備な状態の例

このような状態であれば、いつミスや事故が起こってもおかしくないだろう。

業務フローを整備することは、作業のスピードアップのみならず、作業品質の向上や事故防止にもつながる。まずは業務フローを棚卸し、ブラックボックスになっている箇所や非効率な箇所、個人情報を扱う業務としてリスクがある箇所を確認する。各課題を解消できるような業務フローを構想し、図に落とし込んでいく。

■業務フロー図の作成例
業務フローを見える化しておくと、担当者が迷ったときに確認できるほか、新人への共有にも役立つ。

図表3:Adobe Marketo Engageメール配信業務フローの例

業務フロー図は、以下の点に着目して作成する。

 ●各作業を対応するのにどのくらいの日数が必要なのか
 ●誰がプログラムを設計して、誰が設定をおこなうのか
 ●定型業務以外の対応はどうするか
 ●設定の有効化は誰がおこなうのか

しかし業務フローを整理するだけでは、実運用に定着しない。パワー・インタラクティブでは整理した業務フローを定着させるために、4つのルールを設けた。

①リーダーが一次請けをし、作業を振り分ける
MAリーダーを配置し、MAリーダーは「誰が何を作業するのか」を振り分ける。
②タスク管理ツールへの登録を義務とする
パワー・インタラクティブではbacklogやJiraを活用しているが、ツールを使うことでタスクの依頼履歴が残る。また、誰でも振り返って確認できる。
③依頼フォーマットを決める
依頼内容の抜けもれを減らし、正確に作業者へ依頼内容を伝えることができる。
④作業者とは別の担当がダブルチェックをする
チェックシートを活用してチェックのクオリティを標準化する。

■有事対応フローの作成例
業務フローを整備したとしても、どうしてもミスが起こってしまうことはある。ミス発生時には担当者が焦り、二次的なトラブルが起こりやすくなる。二次的なトラブルを引き起こさないために、あらかじめ有事対応フローを決めておくのが良い。

有事対応フローシートには、当日中にすべきことと数日中にすべきことなどをまとめておく。

図表4:有事対応フローの例

ポイント2:人材育成の方法

安定的に運用できる人材を育成するために、スキルの可視化に取り組むと良い。MAを安定的に運用するには、ツールに対する専門性が求められる。育成するのであれば、必要なスキルを整理し、「誰が・どこまで使えるか」を評価し、レベルに合った適切なトレーニングを実施する必要がある。

スキルを可視化することで適切なトレーニングができるようになるほか、学習モチベーション向上にもつながるだろう。パワー・インタラクティブではMarketoの機能を細分化し、1〜3点の点数付けを実施した。

図表5:Marketoスキル可視化の例

各人のスキルに合わせた勉強会を開催し、MA運用スキルの向上を図っている。

ポイント3:品質管理と改善の方法

■品質の見える化と管理方法
MA運用の品質管理・改善のためには、様々な数値を記録し、見える化する必要がある。改善の祖、ウィリアム・エドワーズ・デミングは「測定できないものは改善できない」と断言した。

パワー・インタラクティブでは、MA運用の品質管理・改善のため、以下のような数値を測定している。

 ●総タスク件数と内容
 ●タスクごとの作業時間
 ●特急対応の件数
 ●ヒヤリハットの件数と内容
 ●事故の件数と内容

図表6:記録する情報の例

■業務報告の例
パワー・インタラクティブが提供しているMAオペレーション代行サービスでは、集計したデータを月次でお客様へ共有をしている。データをもとにお客様と改善策を議論でき、ミスや事故の予防につなげられる。自社でMAを運用している場合は、MA運用関係者へ定期的に共有し、意見を出し合うと良いだろう。

図表7:月次での業務報告の例

※セミナー内容がより詳細にわかる※
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MAオペレーション代行サービスの紹介

パワー・インタラクティブでは、MAのオペレーションを代行するサービスを提供しています。

図表8:パワー・インタラクティブのMA運用代行サービス

専門スキルを持った複数のメンバーからなるMOC(マーケティングオペレーションセンター)が、安定したMAのオペレーションを代行します。

MAのオペレーションでお悩みの方は、お気軽にパワー・インタラクティブまでご相談ください。

MAオペレーション代行サービスの詳細はこちら

高月 大輔

オペレーションPro.グループマネジャー

高月 大輔

マーケティングオートメーション活用支援

Webディレクターとして大手・中堅企業を中心に多数のWebサイト構築を手がける。その後、マーケティングデータアナリストへ転向。 Googleアナリティクスでのアクセスログ分析やBIツールを使ったダッシュボード構築に従事。現在はMarketoの活用支援コンサルティングにも領域を広げ、自社のMA運用代行チームのリーダーとして活動している。
またAdobe社のMarketoトレーニング講師も担当し、分かりやすい解説が好評を得ている。

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